これはイノシシと思われる足跡です。
形を覚えれば、先ずそれが何の動物か判断が出来ます。
でも、もっと面白いのは、この先なんです。
写真を撮った時、地面は凄く硬くて、こんなくっきりとした足跡は、とうていつかないはず。
そうなると先ず、雨でぬかるんだ時についた足跡だと予想できます。
天気の記録を調べると、おととい が雨。
「じゃあイノシシは、一昨日ここに居たのか。」
と、目の前の足跡に、「生命」が少し宿ってくる感じがしてきます。
更によく見ると、この写真では分かり難いですが、足跡の内部には、雨が落ちた痕はありません。
すると、イノシシがここを通った時には、雨は止んでいた?
という仮説が立てられます。
お天気記録を見ると、雨が止んだのは、夜の11時くらい。
付近のイノシシは夜行性が一般的なので、夜11時から、夜明けまでの間にここを通った事になります。
こうやって一つの事がまた分かると、足跡から発せられるイノシシの「雰囲気」みたいなものがまた、はっきりとしてきます。
先生はその「雰囲気」を、「残留意思」と呼びます。
「雨上がりの深夜のこの森の中を、向こうへ歩いていったのかあ。」
イノシシの目線の高さになって、その方角を見ます。
深夜の湿った森を、肌感覚で想像します。
その時の香りや、体感温度なども、感覚にまとってみます。
その時に自分の中で感じられるイメージが、足跡を残したイノシシが感じていたものと、近ければいいなあと何故か願ってしまいます。
そうすると、もっとイノシシの事が知りたくなるんです。
「待てよ、そもそもここで何をしてたんだろう?」
「向かって来た方角と、向かっている方角の先には、それぞれ何があるんだ?」
そんなのを知りたくなる理由が、推理する面白さなのか、そのイノシシへの愛着なのか、古来の狩人のDNAが残ってるのか?
とにかくはまったら抜けられないんです。
上記で述べた以外にも、推理できることは、きっと沢山あります。
この記事へのコメントはありません。