サバイバル図鑑的な本には、「雨の降る中での焚き火の点け方」みたいな方法が、図解などで紹介されています。
中々面白い方法ですし、トレーニングや実験としては凄く有効だと思います。
ところが「サバイバル – 生き残る」という視点からすると、「雨の降りしきる中での焚き火」は、時に避けなければいけない行動です。
体温は「補給」よりも「保持」が圧倒的に優先
前回の「初めてのブッシュクラフト講習」は雨でした
野外で孤立状態、サバイバル状態に陥った際の一番の死因は「凍死」です。
体温が奪われてしまう大きな要因の一つが「濡れる」こと。
仮に雨の降りしきる中、焚き火をおこせたとしても、自分がその傍で雨に打たれているという状況は避けなければいけません。
雨に打たれている「弱々しい焚き火」が与えてくれる熱を得ようとするよりも、濡れずに、「自分の体温を保持」する方が、遥かに効率的で重要なのです。
そんなわけで、雨の中の「火」ではなく、先ずは「屋根」。
ブッシュクラフト用語、サバイバル用語でいうところの「シェルター」を設ける、または見つける事を優先すべきでしょう。
そしてその下でゆっくりと焚き火の準備をします。
雨だけでなく、風も凌げるシェルターであることが理想です。
バッチリの雨具があるので大丈夫?
はじめて自分で作ったシェルターの下で焚き火をする参加者さん
体温の放出をおさえてくれるものを「シェルター」と呼ぶのであれば、衣服もまたシェルターです。
でも、雨に打たれながらの焚き火と、雨具のボタンを外し、屋根の下でリラックスしながら当たる焚き火は段違いです。
サバイバルに必要な「心のエネルギー」をしっかりと養うためにも、しっかりと雨に濡れない場所を設ける事が出来る技術を身につけましょう。
雨って気持ちいいなあ・・と思える贅沢な時間
シェルター、焚き火、ベッド、くつろぐのに必要なものを全て手に入れた参加者さん
雨が降る中、シェルターを設け、薪を集め、お尻がぬれないような布団をつくる。
そうすればもう、寒くなければ、雨具は脱いでしまってもいいのです。
ゆっくりと火をおこし、お湯を沸かし、「雨浴」をします。
マイナスイオンが漂い、濡れた森の香りを楽しみながら、焚き火をして、お茶やコーヒーを沸かして飲む。
お茶を飲んだ時に「ふ~」と安堵の息を吐きながら、焚き火の前で、雨の空を眺める参加者さんを見ると、本当に気持ち良さそうです。
雨が降りしきる中での焚き火と違い、火も伸び伸びと、自由に動いてる感じがします。
「雨って気持ちいいなあ・・・」なんて思えると、ブッシュクラフトの幅が凄く広がるし、自信もつきますよね。
三月の12日、13日開催の「はじめてのブッシュクッラフト – ブッシュクラフトアドバイザー資格認定講座」は、現在5名の方がご参加の予定です。
まだまだご参加受付中です。
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記事を書いた人
WILD AND NATIVE 代表 川口 拓
- サバイバル・インストラクター
- 自衛隊危機管理術教官
- 自衛隊サバイバル術教官
- 一般社団法人危機管理リーダー教育協会(CMLE) 代表理事
- CMLE 災害対策インストラクター養成トレーナー
- CMLE ブッシュクラフトインストラクタートレーナー
1971年、世界で定められている地球の日(4月22日)に生まれる。幼少の頃より自然が好きで、渓流で魚を獲り、その場で焚火で焼いて食べたり等、自然に親しみながら子供時代をすごす。
1996年~2004年、カナダやアメリカを何度も訪れ、雪山登山、ロッククライミング、カヌー、カヤック、野外救急法、野外教育法、ネイティブアメリカンの古来の教え、大地と共に生きるサバイバル技術等を学ぶ。
2001年より WILD AND NATIVE を主催、2013年、一般社団法人危機管理リーダー教育協会を設立。現在も自分で学びながら、ネイティブアメリカンの大地と共に生きる術、哲学、アウェアネス(原始の感覚の使い方)、サバイバル技術等を、一般の方々から、現役自衛官、警察官の方々に至るまで、幅広く共有している。
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