エンビジョニングという「五感」の力
先ずは皆さん「りんご」を思い浮かべてみましょう。
そう聞くと、頭の中のスクリーンのようなところに「りんご」を思い浮かべる方が多いと思います。
そしてその「りんご」はどちらかというと平面的で、視覚的に思い浮かべられたものに近いのではと思います。
それに対して、例えば原始的に生活する人々が思い浮かべる「りんご」は、凄く立体的なのだといいます。
重さがあり、質感があり、手触りも感じられる。
実際に手に持つ事が出来て、その香りを嗅ぐ事が出来、食べた時には、きめ細かい味が口の中に広がっていく。
そんなリアルな「りんご」を思い浮かべる事が出来るのだそうです。
思い浮かべる物事にアクセスが出来る「エンビジョニング」
上記に述べたような違いが本当にあるのだとすれば、その差が生まれる理由は、きっと「情報の受け取り方」にあるのかなと思います。
我々が現代生活で必要とする情報の多くは、頭の中で処理できる、または処理すべきものです。
それらの情報は、「視覚」を除いたその他の感覚に響いてきませんし、響かせる必要もないのでしょう。
だから情報をアウトプットする際にも、二面的な形になりがちなのかもしれないです。
自然の中での体験、出来事は、常に、満遍なく五感を刺激してくれます。
受け取る情報が「頭」でなく「五感」であれば、当然アウトプットも「五感」を通してなされる事が多くなります。
私個人の感覚ですが、五感を通してアウトプットされた情報には、とてもリアルにアクセス出来ます。
先ほどの「りんご」の例に挙げたように、
自分とは別物の、客観的な「りんご」 – 二面的な情報
と、
実際に触れる、食べられる「りんご」 – 「五感」でアクセスが出来る情報
の差です。
口では説明できないような部分にも触れる事ができます。
そして、ある意味、実際には無いものを「感じる」事ができるのです。
このように「五感」を使って、そこに無いものを感じようとすることを「エンビジョニング」と呼んでみましょう。
「エンビジョニング」をどう使う?
この「エンビジョニング」を養うエクササイズは、インディアン(ネイティブアメリカン)から伝わる「大地に生きる術」を学ぶのに不可欠です。
「大地に生きるサバイバル術」では、危険を察知し、水場や食料などの場所を察知するのに凄く役立ちます。
「薬草&ヒーリング」では、薬草の効き目を身体に響かせたり、どんなメディスン(栄養、素晴らしいもの)を自分が求めているかを感じたり、他の人がどんな不具合を抱えているかを、きめ細かく感じ取ったり出来ます。
現代生活においても、我々が気付いていないだけで、「エンビジョニング」の力は、色々と役に立つのではないかと思います。
何かを「造りだす」事が得意な人は、この「エンビジョニング」の力に長けている人なのかも知れないですね。
さて、次回は「エンビジョニング」の力を、どうやって養っていくかのお話を少しだけしてみたいと思います。
記事を書いた人
WILD AND NATIVE 代表 川口 拓
- サバイバル・インストラクター
- 自衛隊危機管理術教官
- 自衛隊サバイバル術教官
- 一般社団法人危機管理リーダー教育協会(CMLE) 代表理事
- CMLE 災害対策インストラクター養成トレーナー
- CMLE ブッシュクラフトインストラクタートレーナー
- 薬日本堂非常勤講師
- 自由大学「地球と遊ぶサバイバル」講師 等など
1971年、世界で定められている地球の日(4月22日)に生まれる。幼少の頃より自然が好きで、渓流で魚を獲り、その場で焚火で焼いて食べたり等、自然に親しみながら子供時代をすごす。
1996年~2004年、カナダやアメリカを何度も訪れ、雪山登山、ロッククライミング、カヌー、カヤック、野外救急法、野外教育法、ネイティブアメリカンの古来の教え、大地と共に生きるサバイバル技術等を学ぶ。
2001年より WILD AND NATIVE を主催、2013年、一般社団法人危機管理リーダー教育協会を設立。現在も自分で学びながら、ネイティブアメリカンの大地と共に生きる術、哲学、アウェアネス(原始の感覚の使い方)、サバイバル技術等を、一般の方々から、現役自衛官、警察官の方々に至るまで、幅広く共有している。
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