微かな痕跡を見つけ、それを追うという古来の狩の技術。
それが現代でも、行方不明者の捜索で活躍する事がある。
そんな話を聞いた時には、本当に興味が湧きました。
なんでも、捜索隊や警察犬が見つけられなかった行方不明者まで発見してしまうのだとか。
その技術を目の前で見た時、私には正直何も見えませんでした。
ぬかるみなどで、足跡がしっかりとついていれば、当然見えるのですが、先生は、
「固い地面にも足跡は残る。」
というのです。
そしてその視点を聞いてみると・・・なるほど、少しずつですが、見えてきます。
例えば、地面に落ちている枝が折れていたら?
それは蹄を持った動物か、人間が通った可能性が高いといいます。
何故でしょう?
ちょっと解説してみます。
野生動物は、大きく分けて、二種類の「足」を持っています。
肉球系、または、蹄(ひづめ)系。
地面がある程度固いと、固い蹄との間に挟まれた「枯れ枝」は、当然折れやすくなります。
これは人間の靴で踏んだ場合も同じです。
山道を歩いていて、パキッと枝が折れる音がした経験ありません?
それに対し、肉球の足で踏まれても、柔らかい肉球がクッションとなり、枝は折れにくいのです。
ですので、例えば人間を捜索していて、地面に「折れた枝」があったら、そこにしっかりと足跡が残っていなくても、そこを通った可能性があるのです。
もちろん、必ずしもそうとは限りません。
当然それを確定するには、他の情報も付随していなくてはなりませんが。
では写真を見てみましょう。
これは肉球系の動物の足跡。
でも踏まれた枝が折れています。
流石にこれだけ地面が柔らかいと、肉球系の動物の足でも、枝が折れやすくなります。
でもこういう場合は、殆どの場合、足跡がしっかりと残るので、主を特定するのに、「枝の折れ」から判断するまでもありません。
こんなのが一つ分かると、森の見え方がまた変わってくる気がします。
もっと色んなミステリーに触れたくなってくるんです。
明日から、今年最後のワークショップです。
新年一発目は、「痕跡の追跡と捜索」というマニアックなテーマから始まります。
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